2008年5月17日土曜日

感性を磨く


連日の取材。
動物写真家の宮崎学さんに話を聞く。
10年以上前に土門拳賞を受賞した写真集「フクロウ」を見て感動してから、いつか会いたいと思っていた人だ。

最近はツキノワグマがテーマとのこと。近年、ツキノワグマやニホンザルなどの獣害が問題になっている。これらのケモノが人里に頻繁に姿を見せるようになった原因の一つは「犬を繋いだこと」だそうだ。そしてもう一つ、人間が山に関心を払わなくなったこと。
人が野生と対峙していた時代は、人が発する「気」が野生にとって脅威だったため、簡単に人間の生活圏に姿を現すようなことはなかった。

しかし生活の近代化で、たとえば窓はサッシになって音を遮断し、その閉じられた空間で人の関心はブラウン管の向こうへ行ってしまった。

さらに高齢化もあって、人が自らの足で山里を歩いて見回ることも減り、もとより放棄された山林は荒れる一方(実は管理されなくなった人工林は野生動物にとってエサの宝庫らしい)。果ては、
「最近はクマを見なくなったな」
となる。しかし、実態は「見えていない」のである。実際、宮崎さんが設置した自動カメラにはたくさんのクマの個体が写っているらしい。また宮崎さんはシジュウカラのための巣箱を何十個も設置することで、それを裏付けようとしている。シュジュウカラは巣作りの段階で、自分の縄張りの中に落ちている獣毛を集めるので、このことがクマの個体数確認の手がかりになるのだという。

宮崎さんらしい感性だなあと、あらためて感心するとともに、人の感性がこのまま「退化」していってしまったらどうなってしまうんだろう、と不安になってきた。

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